平成22年度

陶芸作品

「園内の描画活動について」

 ゆりの樹幼稚園の教育のあり方は、「体験教育から体感教育へ、そしてさらに豊かな感情表現活動、そして皆さんご存じの10E」です。その考えに伴い、平成19年度から、描画活動も、ただ単に見たものを描くのではなく、自分の心を表現できる活動に移行しております。
 子ども達の心の表現活動を毎月の描画活動や壁面活動の中で、紙にとどまることなく、壁面を利用したり、大型用紙や今までには使用しなかった各種の画材を使用し、楽しく面白い描画方法も取り入れ、例えば竹、炭、コンテ、ローラーなどなどを駆使して、年齢に応じて心の表現活動が出来るようにダイナミックにクラス全体として取り組み、その中で、一人ひとりの心が育ち表現できるように指導しています。

 クレパス、絵の具の塗り方、線の描き方、文字、数の書き方活動や紙工作指導も、単独で取り上げて指導するのではなく、毎月の描画活動や、大型壁面、天井飾り(ゆりの樹幼稚園ではアミアミボードと名づけています)も含めて、一体化したダイナミックなクラス全体の取り組みでの創造的活動の中に組み込んでいくカリキュラムです。
 特に大型壁面の製作は年少、中組は、4月から9月、10月から3月の2回、年長組は4月から7月、8月から11月、12月から3月の3回の期ごとにテーマを決めて取り組んでいきます。

 大型壁面製作に関して大切にしていることは、子ども達が、その場にいて心地よい、安らげる空間を作ってあげることが目的です。その為には、子ども達がどのような気持ちで園生活をしているかをしっかり知ることです。
 その時々の子どもの心をつかみ、どのような環境構成が一番心地よいか考えて設定しています。そして、子どもへの教育の思いや愛情が伝わるものにしています。子ども達の環境に関する感性は素晴らしいものがあります。特に壁面装飾の変化には敏感です。その環境によって感覚がみがかれます。美しいものを美しいと感じる心を育てること、想像力や創造力を喚起することが出来る環境を作ってあげたいのです。子ども自身の作品を飾ることは子どもたちの心の成長や創造的な活動にもつながります。その為には、保育者自身の感性を磨くことがもっとも大切であるとも考えています。

 具体的には、題材、構図、配色などには十分時間をとり、人工的な美しさに片寄らないように、既成概念にとらわれることなく、自然の素材なども取り入れるなどして、温かみのある環境、生活に根ざしたものにしています。もちろん、年間を通して計画している行事や活動、方針に沿った内容であることが大切です。園生活のすべての環境作りと連動していくことが基本です。
 子ども達自身が興味や関心を持続できる遊びができるものを取り入れ、園児参加型だから面白いのです。自分ひとりで悩むことなく、個性が違う保育者同士で協力していくことも大切にしています。教師集団は協力なくしては成り立ちません。保育者どうしのそのような姿も子ども達に感じてもらうことが出来たら素晴らしいですね。そして、そのここちよい環境構成が、心の安定をもたらし、子ども達と保育者が信頼関係を築いていく一翼を担っていくほどの大きな役目をするのです。

 次に、内容は子どもの発達や興味に沿って選択しますが、子どもたちの反応をヒントに進めていく事を大切にしています。季節に関する素話や手遊び、絵本の読み聞かせなども取り入れながら、大型壁面や描画活動で、何を、どのように描いていくかを子ども同士や教職員が話し合うプロセスは、子ども自身が多くの言葉を知り、言葉を理解するという意味で重要だからです。語彙は思考を積み上げていくための手がかりとしての意味をもつものです。興味を持った、事象や、事物、読んだ絵本の言葉に触れ、実際に使ってみるという体験を通して、言葉のTPOや面白さ、言葉から受ける感覚を通して考える力、描く力として創造性を体得していきます。

 子どもたちは、体験した面白い場面は伝えたくなり、その世界を共有したい思いに導かれます。その想いを伝えることが、十分な自己表現や、人間同士のかかわり、相手の話を聞く姿勢に繋がるので、自分で発見する見る力、聞く力、見抜く力、考える力)、感動する(感じる力)、伝える(表現する力)能力を育てるのです。

 こうして、言葉が育つことにより仲間も育つのです。体験や絵本の読み聞かせなどを通した描画活動から、子どもたちは豊かな人間関係の中で話す、話し言葉で伝える、理解してもらう喜びを知るという行動を経て、やがて自分で読んで理解し、思考する、書いて伝えることができるようになっていくのです。この発達に繋がる橋渡しの重要な役目を保育者は担っているという長期的な見通しを踏まえて指導することを大切にゆりの樹幼稚園では描画活動、大型壁面活動に取り組んでいます。

  この心を表現するクラス全体のダイナミックな活動を通して、子ども達は、嬉しい、楽しいという感情だけでなく悔しい、悲しい思いも浄化させることができ、はっきり言葉にできなくても「想い」を一生懸命描くことで、その積み重ねの中で、自然と感じたことを言葉にする(自分の中で言葉を選択し、決定すること)に繋がっていきます。自分の漠然とした考えを明確にし、ひいては、自分の生き方、自分の在り方が定まっていくことにも繋がっていくのです。

  自分たちで考え、自由な方法で心をその時の「想い」を表現するお友だちの個性を最大限に活かし心温まる楽しい描画活動による壁面を作っていきたいと思います。それぞれの期ごとにどんな壁面になるのかな、と楽しみにしていただけたらと思います。